よくある質問

自分の将来が不安

身寄りのない方の判断能力が衰えてしまったとき、成年後見制度のうち法定後見制度を利用することはでき、それで上手く生活されている方も多いです。しかし、判断能力が衰えてしまったことに気づき、後見等の開始の申立てをしてくれる方がいないと手続きがなされないままになる可能性もありますし、法定後見制度では後見人等になる人を家庭裁判所が決めるので、ご自身の希望する人が後見人等になれるとも限りません。
あらかじめ信頼できる方を候補者として決めておきたい方のために、任意後見制度があります。任意後見制度では、判断能力があるうちに自分で後見人の候補者を選び、あらかじめ任意後見契約を結んでおきます。そして、実際に判断能力が不十分になる事態になったときに任意後見契約が効力を持つことになります。任意後見が発効すると、必ず任意後見監督人がつくことになりますが、任意後見人には契約で定めた人が就任しますので、どんな人が後見人になるかわからないという不安はかなり解消されます。
また、任意後見契約では、代理権を付与する事項をあらかじめ定めておくことができ、契約の中に希望するライフプラン等を盛り込むこともできますので、将来の任意後見人も、あなたがどのように暮らしていきたいのかを把握して動くことができますので、法定後見に比べて希望する生活を送りやすくなると考えられます。
ただし、任意後見人には任意後見契約によって定めた報酬が必要であることが多く、任意後見監督人にも報酬を支払う必要があります。また、任意後見人には同意権がありませんので、判断能力の衰えた状態でご本人が単独で不利益な契約を結んでしまったとき、任意後見人の権限によって取り消すことができません。
メリットとデメリットを把握されたうえで、制度の利用をご検討ください。

親亡き後の問題について

障害者の方の親御様がいなくなった後、それを引き継ぐ人がいないときには、成年後見制度が役立ちます。成年後見人等がつけば、お子様には難しい財産管理や相続手続き、また住まいや施設入所などに関する契約も代理できます。
お母様に代わる方がいない場合、お亡くなりにならずとも、お母様自身がさらに高齢になりお子様の世話が難しくなったときに大きな問題となるので、お母様がしっかりしているうちに成年後見人等をたてておき、備えておくといざという時安心です。
さらにご自身の死後に備えたいときには、財産的に困ることの内容遺言書を作成したり、ご自身の死後事務について内容を定めて特定の人に委任する、「死後事務委任契約」を信頼できる方と結んでおいたりすることもご検討ください。

親が認知症になり財産管理ができない

親御様が認知症になり、通帳を失くしたり、キャッシュカードの暗証番号を忘れてしまったりして、本人に手続きができない時、多くの金融機関ではたとえ家族であっても、本人に代わって通帳の再発行や暗証番号の変更手続をすることを認めてもらえません。そのような場合、後見制度を利用することで必要な手続きを行うことができます。
家庭裁判所に後見制度開始の申立てをし、後見制度が必要であると審判されると、家庭裁判所が本人にとって適切な後見人を選任します。審判が確定すると、その内容は法務局で登記されます。後見人としての権限が公的に証明され、本人に代わり生活費や入院費、施設費の支払いを行うことができるようになります。
後見制度開始の申立ては4親等内のご親族なら行うことができますので、お子様が親のために後見制度開始の申立てをするということは可能です。

親が認知症になり高額な買い物を続けてしまう

認知症になり判断能力が低下してしまい、既にあるものを何度も買ったり、お金の計算が難しくなり高額な商品を買い込んだりしてしまう方は多く見られます。訪問販売等に応じてしまったために、悪質な業者から狙われ不要な契約を何度も結ばされる事例もあります。
成年後見制度は本人の判断能力の程度によって、後見人等の同意を必要とする行為を設定することができ、その場合同意のない行為は後見人等が取り消すことが出来ます。
家計管理が危うくなった方には、成年後見制度を利用するメリットがかなり大きくなります。

遺産相続ができない

亡きお父様が遺言書を残されていなければ、相続人全員での遺産分割協議が必要になります。このままでは遺産分割協議は難しく、今遺産分割を行うのであれば、お母様に成年後見人を選任してもらい、成年後見人がお母様の代理人となって、遺産分割協議をすることになります。
成年後見人は、お母様の権利を保全せねばならない立場上、お母様にとって不利にならない形での遺産分割協議をすることが求められます。
また、お子様が成年後見人の候補になるおつもりであったとしても、成年後見人の選任は家庭裁判所の専決事項なのでお子様が選任されるとは限りません。お子様が単独で選任されたとしても、遺産分割に関しては共同相続人として利益相反関係に当たるので、遺産分割協議についての特別代理人を別途選任してもらう必要がある点についてご注意ください。